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人々の尊厳が守られる場を目指して

カフェフィロは、参加者とともに考えることのできる安全な場をつくることを目指しています。

カフェフィロは2005年の設立以降「社会のなかで生きる哲学」の可能性を探求し、その実現を目指した活動を続けてきました。日本で哲学カフェが開催されるようになってから20年以上が経ち、哲学的な対話の場は私たちの想像を超えて、多くの方々によって、様々な形で開催されるようになっています。

特に新型コロナウイルスの流行以降、オンラインでの対話が急速に広まっています。哲学カフェは2011年の東日本大震災以降に開催数が増えたといわれていますが、社会の大きな転換点において哲学が果たす役割の可能性を私たちは改めて感じています。他方、対話の場が広まることで、誰もが安心し、ともに考えることのできる場のありかたについてもこれまで以上に検討する必要性を感じています。

哲学的な対話の場では日常の人間関係から離れ、多様な背景・価値観を持つ人たちと、普段は話さないようなテーマについて話し合うことができます。しかしそのような場であるがゆえに、何気ない言動が差別的なものとなり、他の参加者の尊厳を貶めてしまうことも起こる場合があります。とりわけ、誰もが参加できるオープンな対話の場は、性別、年齢、思想、過去の経験だけでなく、病気や障がいの有無、国籍、民族や性的指向、性自認、社会経済的状況など、様々な軸において立場や力関係の異なる人々が参加する場であり、対等で安全な話し合いの場の実現が大きな課題であるということを、私たちは改めて確認しておきたいと考えています。

哲学カフェや哲学的思考の場は特定の組織が独占的に担うものではなく、多様な形での実践がありうると私たちは思っています。しかし「社会のなかで生きる哲学」の実現を目指すカフェフィロは、人々の尊厳が守られる場のあり方を今まで以上に重要な問題として検討・議論していきたいと考えています。そうすることによってこそ、真に自由な哲学的思考の場が開かれ、哲学を社会に生かす文化が築かれていくと私たちは信じています。

2021.5.17 カフェフィロ正会員一同

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